その他

滑らかな背に不釣合いなほどの真新しくもない二本の線。
それが丁度、羽の生えていた跡のように見えた。

「綺麗ですよ、白蘭様」

唐突な投げかけに振り返る相手。
軽く驚いたように服を着るのを中断して、起きてたんだ、と苦笑した。

「お世辞なんていらないよ、ザクロ君。普通はこの傷見たら退くよ?」
「いや、俺にはどう目を凝らしても醜くは映りませんが?」
「アハハ! ザクロ君て無意識に口説いちゃうタイプかな?」

だとしても褒めすぎだよ、と笑いながら白蘭は服を羽織った。

「もったいねぇ」
「大丈夫、今度好きなだけ見せてあげるよ。ベッドの上でよければ♪」
「そりゃ俺が攻めねぇ限り見えない気がしますが?」
「あれ? そうだっけ。まあ、細かい事は気にしない方がいいよ、ザクロ君」
「羽が生えてた跡みてぇで、もう少し見てたかったですよ、白蘭様」
「その羽は、ザクロ君にとっては何色だったんだろうね?」
「細かい事は気にしないたちなんで、白でも黒でも何でもいい気がしますよ。白蘭様のもんなら、何でも好きなんで」
「……これじゃどっちが口説かれる方か分からないね」

ふわりと笑うその表情がまた綺麗だと言えば、盛大に苦笑された。



朝の情景
「じゃあ、行ってくるね。ザクロ君」


end
(2011/02/26)
23/23ページ