その他

何とも言えない表情で立っているザクロに疑問を持ち桔梗は声をかけた。

「ハハン、どうかしましたかザクロ?」
「いや、白蘭様から酒もらったんだけどよぉ……」
「それはよかったですね」

喜ばしいとさえ思える待遇をされたはずのザクロは、微妙な顔で桔梗へと訊いた。

「カルーアなんつー甘ったるいのをどうしろってんだよ?」
「飲めば良いかと思いますが?」

何を疑問に思うのかと逆に疑問に思いながら桔梗は問い返すように答えた。
その答えにザクロは眉を寄せた。

「バーロォ、俺は辛口の酒しか飲まねーよ」
「おや、それは白蘭様も勘違いをされましたね」
「またパラレルだかの情報か?」
「ハハン、平行世界の中には甘口しか飲まない貴方もいるかもしれませんね」
「直接聞けば良い情報を何でわざわざ瞑想で知るんだかなバーロー」

呆れたように言うザクロは自室へと歩き出した。
事の次第を理解した桔梗は、ひっそりと苦笑しながら呟いた。

「それは、本人に訊く勇気がないからでしょうね」

立ち止まっている桔梗を疑問に思ったザクロは振り返った。

「おい、どうかしたのかバーロォ?」
「ハハン、何でもありませんよ」


end
(2011/02/13)
恋人同士で飲む5題
03.店で見かけた、君の好きな酒
配布元:TOY
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