その他

「白蘭様、わざわざ戦闘服を新調する意味ってのはあるんですか?」
「んー、強いて言うならザクロ君には、常に僕とお揃いのを着て欲しいから、かな」
「はぁ……」

気の抜けた返答をしながら、ザクロは服を身につけていった。
少し前に脱いだ詰め襟の服と、今白蘭の着ているミルフィオーレの白服、その二つの何処がお揃いだったのかと疑問に思った。
今身につけ途中の服にしても、桔梗と同じデザインの服だとしか認識していなかった。


「これじゃあ、桔梗とお揃いって事になりますが」
「大丈夫だよ。心配しなくても、僕はもうすぐ君とお揃いの服になるから」
「君達、の間違いじゃないですか?」
「ハハハッ! そうかもしれないけど、此処はあえて同意するところじゃないかな? ザクロ君」

上着を身につけ終り着心地を確かめているザクロに、よく似合ってるよ、と褒めた白蘭は、相手の腕を掴んだ。
引き寄せるように腕を引く白蘭に、ザクロは特に疑問もなく近づいた。


「ザクロ君は知ってるかな? 男が服を贈るのって、その服を自分の手で脱がせたいって意味があるんだよ」
「白蘭様、その理屈で言うと、あいつらまで狙ってる事になりますが?」

からかいを含めた口調で言うザクロ。
ザクロの服に手をかけていた白蘭は苦笑しながら呟いた。



揃い服
「情緒がないね、ザクロ君は」


end
(2010/09/26)
15/23ページ