その他
「ザクロ君は僕より桔梗チャンの方が好きなんだね」
「何で、そんな話題が出るんですか?」
ソファーに座っている白蘭から不機嫌そうに言われ、首を傾げながら問い返すと。
さらに機嫌が急降下したように投げ槍に答えられた。
「だってザクロ君、桔梗チャンといる時ばっかり笑ってるし」
「笑ってましたか?」
「無自覚なんだ」
不貞腐れたようにため息をついた白蘭は、ザクロの腕を掴み引き寄せた。
「ねぇ、ザクロ君、何で桔梗チャンと話しをするの?」
「何で……つわれましても、たまたま話しが合うのがあいつしかいないだけで」
「ふ~ん、僕とはしたくないんだ」
物騒な目で見上げてくる白蘭を前に、これは嫉妬されているのかと今更ながらに考えた。
おそらく、桔梗に話しかけたことに対しての独占欲からの嫉妬。
それが、嬉しい嬉しくないかと訊かれれば、嬉しいものではあるが、今は誤解を解かなければいけない。
「白蘭様がいなかったので、桔梗と話しました」
「……ザクロ君、そんな言い訳じみた事で僕が許すと思う?」
薄っすらと妖しげな笑みを浮かべながら、白蘭は掴んでいた腕をさらに強く握った。
「言い訳にしても、もう少し考えようね?」
握られた腕は痛いとは思ったが、ザクロにとって白蘭に誤解された事の方が重大だった。
どう伝えるべきかと考え言いよどんでいると、業を煮やしたかのように白蘭はザクロの腕を自分の方へと強く引いた。
よろけた様に白蘭の前に膝をついたザクロは、驚いたように白蘭を見た。
「白蘭さッ」
「ねぇ、ザクロ君。本当のところ桔梗チャンの方が好き、何てこと無いよね?」
有無を言わせない声、作り笑いを浮かべた顔で問いかけられ、疑いをかけられている事に愕然とした。
そんな事をわざわざ訊かなくとも、自分には白蘭しか大切ではないのに。
「俺には、白蘭様だけです」
「いい答えだけど……それって、言い訳にも聞こえるんだよね」
「疑いますか?」
「だとしたらどうする? ザクロ君」
反論をどうぞと促される様に名前を囁かれた。
「誰よりも、白蘭様の事を愛しています」
陳腐だ、ありきたりの言葉しか言えない頭を呪いたくなった。
けれど、偽りは無かった。
真剣に返された言葉を聞いた白蘭は、じっとザクロを眺め、苦笑を漏らした。
「ザクロ君、もういいよ」
「白蘭様!」
「だから、疑ってごめんね? 君が僕の事一番に考えてくれてるのは分かったから」
掴んでいた腕を放し、ザクロを見つめる白蘭の目には、先程までの物騒な光は無かった。
「器が小さくて愛想尽かしちゃった?」
冗談めかして言う様子は、いつも通りの白蘭だった。
床に膝をついていたザクロにあわせる様に膝をつき、いとおしむ様に見つめた。
「好きだよ、ザクロ君。桔梗チャンなんかに渡したくないし、僕以外と楽しげにしてたなんて許せないんだ」
妙な所で無邪気で素直で残酷な目の前の人物の言葉を聞きながら、深く想われるのも嫌ではないと思った。
「嫉妬深いのは嫌い?」
「いいえ……白蘭様になら、かまいません」
ザクロの返答に、白蘭は相好を崩しながらザクロに抱きついた。
嬉しい答え
「そう、よかった!」
end
(2010/06/18)
「何で、そんな話題が出るんですか?」
ソファーに座っている白蘭から不機嫌そうに言われ、首を傾げながら問い返すと。
さらに機嫌が急降下したように投げ槍に答えられた。
「だってザクロ君、桔梗チャンといる時ばっかり笑ってるし」
「笑ってましたか?」
「無自覚なんだ」
不貞腐れたようにため息をついた白蘭は、ザクロの腕を掴み引き寄せた。
「ねぇ、ザクロ君、何で桔梗チャンと話しをするの?」
「何で……つわれましても、たまたま話しが合うのがあいつしかいないだけで」
「ふ~ん、僕とはしたくないんだ」
物騒な目で見上げてくる白蘭を前に、これは嫉妬されているのかと今更ながらに考えた。
おそらく、桔梗に話しかけたことに対しての独占欲からの嫉妬。
それが、嬉しい嬉しくないかと訊かれれば、嬉しいものではあるが、今は誤解を解かなければいけない。
「白蘭様がいなかったので、桔梗と話しました」
「……ザクロ君、そんな言い訳じみた事で僕が許すと思う?」
薄っすらと妖しげな笑みを浮かべながら、白蘭は掴んでいた腕をさらに強く握った。
「言い訳にしても、もう少し考えようね?」
握られた腕は痛いとは思ったが、ザクロにとって白蘭に誤解された事の方が重大だった。
どう伝えるべきかと考え言いよどんでいると、業を煮やしたかのように白蘭はザクロの腕を自分の方へと強く引いた。
よろけた様に白蘭の前に膝をついたザクロは、驚いたように白蘭を見た。
「白蘭さッ」
「ねぇ、ザクロ君。本当のところ桔梗チャンの方が好き、何てこと無いよね?」
有無を言わせない声、作り笑いを浮かべた顔で問いかけられ、疑いをかけられている事に愕然とした。
そんな事をわざわざ訊かなくとも、自分には白蘭しか大切ではないのに。
「俺には、白蘭様だけです」
「いい答えだけど……それって、言い訳にも聞こえるんだよね」
「疑いますか?」
「だとしたらどうする? ザクロ君」
反論をどうぞと促される様に名前を囁かれた。
「誰よりも、白蘭様の事を愛しています」
陳腐だ、ありきたりの言葉しか言えない頭を呪いたくなった。
けれど、偽りは無かった。
真剣に返された言葉を聞いた白蘭は、じっとザクロを眺め、苦笑を漏らした。
「ザクロ君、もういいよ」
「白蘭様!」
「だから、疑ってごめんね? 君が僕の事一番に考えてくれてるのは分かったから」
掴んでいた腕を放し、ザクロを見つめる白蘭の目には、先程までの物騒な光は無かった。
「器が小さくて愛想尽かしちゃった?」
冗談めかして言う様子は、いつも通りの白蘭だった。
床に膝をついていたザクロにあわせる様に膝をつき、いとおしむ様に見つめた。
「好きだよ、ザクロ君。桔梗チャンなんかに渡したくないし、僕以外と楽しげにしてたなんて許せないんだ」
妙な所で無邪気で素直で残酷な目の前の人物の言葉を聞きながら、深く想われるのも嫌ではないと思った。
「嫉妬深いのは嫌い?」
「いいえ……白蘭様になら、かまいません」
ザクロの返答に、白蘭は相好を崩しながらザクロに抱きついた。
嬉しい答え
「そう、よかった!」
end
(2010/06/18)