桔ザク 2
「すきだぜバーロォ」
「ハハン、私も好きですよ、ザクロ」
喜ばしい、と言える状況なのだろう。
好きである事には変わりなく、それが恋愛感情であるとさえ自覚している。
好意の対象となる人物から好きだと言われれば嬉しいに決まっている。
これが酔っている相手からの言葉でなければ。
「貴方の酒癖は罪作りですね……」
「ああ? なんだバーロー。おれといる時にほかの事かんがえてんじゃねぇぞ」
「ハハンッ、私はいつでも貴方の事しか考えていませんよ?」
「なんだぁ? いっしょかバーロぉ」
上機嫌で抱き着き、女性にでもするように髪を撫でてくるザクロ。
その行為を許しながら、貴方は誰といる積もりですか、と問い返したくなった。
これが素面の状態ならば、と考えたのは何回目かと思ったか。
もしくは、相手が今の記憶を覚えていれば――
「……ハハン、ようやく寝ましたか」
上機嫌に好きなだけ告白をした相手は、恐らく明日の朝には二日酔いの頭痛とともに先程までの事を忘れる。
いっそ抱き着かれているこの状況を、明日の朝までそのままにしようかと頭の片隅で考えた。
「本当に……罪作りな酒癖ですね」
ため息をついてから、ゆっくりとザクロの腕を外し。
清々しいほどに堂々と眠る顔に苦笑した。
end
(2011/12/11)
恋人同士で飲む5題
05:酔っているのはお酒じゃなくて
配布元:TOY
「ハハン、私も好きですよ、ザクロ」
喜ばしい、と言える状況なのだろう。
好きである事には変わりなく、それが恋愛感情であるとさえ自覚している。
好意の対象となる人物から好きだと言われれば嬉しいに決まっている。
これが酔っている相手からの言葉でなければ。
「貴方の酒癖は罪作りですね……」
「ああ? なんだバーロー。おれといる時にほかの事かんがえてんじゃねぇぞ」
「ハハンッ、私はいつでも貴方の事しか考えていませんよ?」
「なんだぁ? いっしょかバーロぉ」
上機嫌で抱き着き、女性にでもするように髪を撫でてくるザクロ。
その行為を許しながら、貴方は誰といる積もりですか、と問い返したくなった。
これが素面の状態ならば、と考えたのは何回目かと思ったか。
もしくは、相手が今の記憶を覚えていれば――
「……ハハン、ようやく寝ましたか」
上機嫌に好きなだけ告白をした相手は、恐らく明日の朝には二日酔いの頭痛とともに先程までの事を忘れる。
いっそ抱き着かれているこの状況を、明日の朝までそのままにしようかと頭の片隅で考えた。
「本当に……罪作りな酒癖ですね」
ため息をついてから、ゆっくりとザクロの腕を外し。
清々しいほどに堂々と眠る顔に苦笑した。
end
(2011/12/11)
恋人同士で飲む5題
05:酔っているのはお酒じゃなくて
配布元:TOY