桔ザク 2

「ハハン、悪目立ちはしないよう言ったはずですが?」

血の混じった唾を吐いてから、悪びれもせずザクロは言い放った。

「そうだったか、バーロー」
「戯れで喧嘩をするのは構いませんが、貴方は少々派手に立ち回りすぎです」
「小言ならきかねーぜ。勝手に突っ掛かってきたのはそいつらだ」

地面に突っ伏す男達を跨ぎ、表通りへと足を向けるザクロ。
すれ違いざまに桔梗はザクロへと言葉を投げ掛けた。

「この事は白蘭様に報告しますよ」

聞く耳持たないように言う桔梗に対し、ザクロは苛立たしげに髪を掻き立ち止まった。

「やけにきつい態度だなバーロー」
「油断をして怪我をした貴方が悪いのですよ、ザクロ」
「匣か嵐の炎でも使ってさっさと終わらせてりゃ、少しは許してたか?」
「ハハン、そうですね。貴方が怪我を負わなければ、少しは考えていたと思いますよ?」

口元に笑みを浮かべながら桔梗は、ザクロへと近づき手を伸ばした。

「…ッ!? バーロォ、触んな!!」
「せっかくの男前が台無しですね」
「何だバーロー! 嫌味かそりゃ!?」

お前みたいな奴に言われたくはない、と怒鳴りつけるザクロ。
その反応に、心外だとばかりに桔梗は苦笑しながら返答した。

「ハハン、本心ですよ」



喧嘩師へ
嘘混じりの皮肉を


end
(2011/10/23)
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