桔ザク 2

「私の恋人……ですか?」
「うん、少し参考程度に教えてくれるかな?」

何の参考かは言わない白蘭に対し、苦笑をするように桔梗は聞き返した。

「何故、私に恋人がいると?」
「だって、桔梗チャンに最近恋人が出来たって噂されてるよ? Aランクの部下達の間にまで広まってたら自然と耳に入っちゃうよ普通」
「ハハン、噂になっていましたか……それほどに表に出ていたのでしょうか?」
「とにかく教えてくれるかな? 桔梗チャンが骨抜きにされちゃってる恋人の事♪」

完全に面白がっている白蘭。
単なる暇つぶし程度に訊いている事が分かる態度に、今度こそ微苦笑をしながら桔梗は答え始めた。

「そうですね、性格は単純と言うか純粋と言いますか、騙されやすい性格ですね。本人はかたくなに否定をしますが」
「へー、意外と天然系が好きなんだね?」

しっかり系が好きかと思ってたよ、とニコニコと笑いながら白蘭は続きを聞いた。

「容姿は、切れ長の目元に、いつも眉間に皺を寄せ、傍から見ると気だるげとも憂い気ともとれる表情をしています。髪は短い方ですが、ゆるく癖の入った前髪がかかっている所はとても色気があります。髪色は夕紅色で、嵐属性と言うこともありますが戦っている最中は炎の色と相まって綺麗ですね」
「ふ~……ん?」

想像を膨らませながら、微妙に引っかかる表現に白蘭は僅かに首を傾げた。

「後は、すぐにダレやすいので――」
「うん、少しストップしようか桔梗チャン」
「ハハン、どうしました白蘭様?」
「もしかして桔梗チャンの恋人って、名前の始めに『ザ』がついて、『バーロー』が口癖だったりする?」

まさかないよね、と期待を籠めたように言う白蘭に対し、桔梗は逆に疑問に思いながら返答した。

「ええ、そうですが? それがどうかしましたか?」
「真顔で肯定しちゃう桔梗チャンて凄いね」



客観的説明
(惚気込み)

「白蘭様は分かり切っているものだとばかり思っていましたが?」
「途中まで普通にお姉さん系を想像してたよ、桔梗チャン」


end
(2011/02/22)
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