桔ザク 2

トリカブトが時間を告げるまで、そう決めて始めたポーカーだった。
もっとも、たかがゲームとは言え負ければそれなりに悔しいらしくザクロは何度目かの再戦を申し出た。

「貴方も懲りない人ですね」
「うるせぇバーロォ。黙ってカード配れ」
「ハハン、わかりましたよ」

普通なら、何連敗かをすればカードを配る相手を疑う。
それも、配る人物がずっと同じならばなおさら疑うもの。
桔梗はカードを配りながら、イカサマだと疑われない辺り多少は信用されているのかと思った。

もっとも、勝負は勝負なので全力で相手をするつもりだった。

「目覚めの時……運命の時……約束の時」
「ザクロ!! 桔梗!! 時だよ、時間だよ!! 虐殺の時間だ!!」

手札を交換し終わったのを見計らったかのようなタイミング。
大声で遊びの終わりを告げるデイジーに、ザクロが眉を寄せた。
一方で、桔梗は自分の手札を眺めながら静かに呟いた。

「ハハン、よかったですねザクロ。負けずにすんで」
「ああ? 負けずにすんでよかったのはお前だろ。俺はストレートだぜ?」
「残念ながら、私はロイヤルストレートフラッシュです」

手札を広げながら言う桔梗。
10、J、Q、K、A、と揃った手札に描かれたマークはスペード。

「文句なしの完全勝利ですね?」
「……そうだな、バーロー」

見比べる必要すらないほどの最強の手札。
ザクロは自分の手元にある札を机の上に投げ出した。
先を急ぐデイジーの後を付くように歩く途中、ザクロは桔梗へと振り返った。

「たまに思うけどよぉ。お前が天下を取れた分野ってのは、ギャンブルか?」
「ハハン、秘密ですよ」


end
(2011/02/03)
字書きさんに書き方で10題
3.キャラクターに原作中の台詞を言わせる
配布元:TOY
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