桔ザク 2

「ザクロ、桔梗なんかよりブルーベルの方が好きって言いなさいよ」

小さな指が強く首に食い込む中言われた言葉。
脅迫のつもりなのか、握れば折れそうなほど細い指にブルーベルはさらに力を篭めた。
首を絞められた状態で返事が出来る訳がないだろと、他人事の様にザクロは言いたくなった。

そろそろ息苦しくなったので懸命に締め上げる手を掴み、力を篭めると、ビクリと驚いたように相手が痙攣した。

力が弱まったのを見計らい、ザクロは自分の首から小さな手を外させた。
何度か咳込んでから新鮮な空気を吸い込み、自分の上にいる相手に声をかけた。

「熱烈な告白も良いけどなぁ、もう少し周り見た方がいいぜバーロー?」
「ハハン、ようやく終わりましたか?」

サッと血の気の引いた顔で後ろを振り返るブルーベル。
いつものように優しい表情で桔梗はブルーベルを見返し、ザクロへと視線を移した。

「おや、随分と跡が残りましたね、ザクロ」
「バーロー。あれだけ絞められりゃ、こんぐらいなるだろ普通よぉ」
「ハハン、では後で手当でもしましょうか?」

何事もなかったように会話をする二人。
その様子をブルーベルは青ざめた表情のまま聞いているしかなかった。

「忘れるところでした。ブルーベル」

唐突に思い出した様に桔梗はブルーベルを視界に納めた。

「ニュ…な、なによ桔梗……」
「無駄な事はあまりしないようにしましょう。私にも我慢の限界と言うものがありますから」

優しく言い聞かせるように紡がれる言葉は、酷く恐ろしかった。


end
(2011/01/25)
字書きさんに書き方で10題
7.普段あまり書かないものを書く
配布元:TOY
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