桔ザク 2

「……ッ…ばーろぉ、なんだ?」

寝苦しさに眉を寄せ、寝ぼけ眼のまま圧迫感の元を探った。
原因は自分の体に廻る腕だと分かり、後ろを振り返った。

「このヤロっ……人を抱きまくら代わりにすんなバーロォ」

寝苦しいと思い起きてみれば、堂々と抱き着き健やかに寝ている桔梗。
この状況で起こすとなおさら厄介な事になるのは分かっているので、極力小声で悪態をついた。

「起きたら覚えてろよ……」

室内が寒いので人の体温は好ましいものではあるが、寝苦しければ意味が無い。
圧迫感から逃れようと、身じろぎをして一旦布団から這い出ようと試みた。

「ぐぇ…ッ!?」

動こうとした気配でも察知したのか、体に廻されていた腕が逃がさないかのように力が籠められた。
華奢そうに見える腕のどこにそんな力があるのかと思うほどに絞める桔梗。
無意識にしろ手加減抜きの力に、さすがに大声で怒鳴りはしないが盛大に舌打ちしたい気持ちだった。



ひそやかなる攻防
放されたのは諦めて寝て起きた後


end
(2010/12/14)
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