桔ザク 2

「ザクロ、貴方は私が酔狂か何かで言っていると思っているようですね?」

御綺麗な顔に、女がすぐに釣れそうな笑みを浮かべた桔梗。
こっちから見れば嫌味なほどに整ったその顔を、今すぐにでも殴りたかった。
酔狂以外のなんだってんだよ。

「じゃなきゃ性欲処理目的かバーロォ?」

睨みつけながら言えば、悲しげに顔を顰め憂いげにため息をつきやがった。

「貴方は、どこまでも私の言葉を信用しないようですね……それとも信じたくないのですか?」
「信じるだと? 何をだバーロー。その口から出る愛の囁きをか?」
「皮肉を言い、他を寄せ付けず。ザクロ、その態度は好ましくありませんよ」
「不快に思うぐらいなら俺に近づくな」
「頑なに拒むのは、大切なものを作りたくないから、ですか?」

人の事を一々詮索しやがって、鬱陶しいんだよ。
男が男を好きだってのがそもそもの間違いだろ。

「だったら、どうするってんだ?」
「ハハン、失う事を怖がるとは、貴方らしくないですね」
「バーロー、いつ怖がったってんだ。憶測もたいがいにしろ」
「それ以外に、何の理由があると言うのですか?」

さもこっちに原因があって、それが悪いように言いやがって。
だからテメェは嫌いなんだよ、目の前からいなくなれ。

「ザクロ、私は本気ですよ?」
「黙れバーロー、男からの愛の言葉なんざ信じられるか気色わりい」



聞きたくもない
終いにゃその顔殴るぞ


end
(2010/12/11)
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