桔ザク

何も知らずに、どんどん食らい尽くすかのように貪る。
その先に、何があるかを知らずに……


「考え事ですか? 随分と余裕がありますね」
「バーロー、何考えてても良いだろ、お前には関係ない」
「ハハン、貴方のその態度も好きですが、私としては、もう少しこちらに意識を向けてほしいですね」


ぐちゅり、と深くつながった場所から音が鳴る。
声が音になる前に、空気と共に抜けた。

「ァッ……!」
「もっと……乱れてくださいザクロ、私が退屈しないように」
「……っ……バーロぉ、我儘だなッ、テメーは…ッ……」
「ええ、私は我儘で、貪欲ですから」

クスリと笑う桔梗を見て、また意識を別の思考へと向ける


「……ザクロ、貴方は本当に、手に入らない人ですね」


水音が響く中、桔梗は目を細めながらつぶやいた。


「なあ……桔梗、食らい尽くした後にッ…何が…ァッ……あるか、知ってるか?」


途切れながらの質問に、動きを止めることなく聞き返した。

「さぁ? 何があるんですか?」
「二度と、戻れなくなるんだぜ…地の底から戻れなくなったッ…、バカな女神みたいに……」



おろかしさ
「それはそれは、是非ともそうなりたいものですね」


end
(2010/01/13)
11/100ページ