桔ザク 2

「ザクロ君、ちょっと良いか……」

扉を開けた白蘭は、中の様子を見て少し考えた後、ソロソロと扉を閉めた。

「……僕は何も見てな――」
「白蘭様!!」

勢いよく開けられた扉。
何も見ていないふりをしようとしていた白蘭は、ザクロからの声に振り返った。

「何の用でしょうか」

肩で息をしながら用件を訊こうとするザクロ。
部屋の中には突き飛ばされ、頭をしたたかに打ったらしい桔梗が床にいた。

「んー……君たちの邪魔をする積りはなかったんだけどね?」
「邪魔なんてとんでもありません。白蘭様の用件より大切なものなんてありませんから」
「桔梗チャンはそう思ってそうにないと思うけど」
「そんな事より、白蘭様、何の用ですか」

恋人の心配より先に上司の用件。
部下の鑑ではあるけどね、と何とも言えない表情で白蘭は用件を話し始めた。


「酷いとは思わないのですか?」

静かに怒る桔梗は、冷静にザクロへと訊いた。
そんな様子に悪びれもせず、ザクロは堂々と口を開いた。

「白蘭様の用事より大切なもんがあるってのかバーロー?」
「ハハンッ、恋人を突き飛ばしていく人が何処にいますか」
「邪魔だったからだ」

バッサリと、取り付く島も無いほどに言い切られ、桔梗は眉を寄せながらザクロを見た。

「白蘭様が貴方の中で一番だと言う事は分かりましたが、せめてもう少し……」
「何と言われようと、俺は白蘭様の方を選ぶぞバーロォ」



不毛な質問
どちらが大切ですか? は聞くまでもなく……


end
(2010/09/25)
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