桔ザク 2

「白蘭様、俺の修羅開匣用の匣ですが……不具合があるみたいなんですが」
「え? じゃあ、すぐに検査しないといけないね」
「いえ、それが診てはもらったんですが」
「原因が分からなかったのかな?」

言いにくそうに切り出すザクロに、軽く首を傾げた白蘭は、何気なく訊いた。
まさかねー、と続けようとする前に、ザクロの顔を見て止めた。

「……んー、どんな風に不具合が出るのかな?」
「修羅開匣は普通にできるんですが、何つーか、たまに匣の辺りに鈍い痛みが走るかんじですかねぇ?」
「検査に異常は?」
「ありませんでしたが」

これで修羅開匣すらできなければ大事になるね、と冷静に考えながら白蘭は眉を寄せているザクロを見た。

「暫くは様子見しかできないかもしれないけど、それでも良いかな、ザクロ君?」
「かまいませんが……」
「そんなに不安そうな顔しなくても、すぐ治ると思うよ」

たぶん、と心の中で付け足し。
今後の為に真6弔花の修羅開匣用の匣について、もう少し情報を集めようかと思案した。

「ああ、そうそう。訊くの忘れてたけど、どんな時に痛くなるのか教えてくれる?」
「どんなって……桔梗といる時ぐらいですかねぇ?」
「へー……」

そう言えば、ザクロ君て桔梗チャンの事好きだったよねー
胸の辺りが痛くなるのってもしかして……
そこまで考え、白蘭は急に馬鹿馬鹿しくなってきた後、若干投げやり気味にザクロへと助言した。

「ザクロ君、付ける薬は無いと思うよ?」
「そんなに重症ですか」
「ある意味草津の湯でも治せないね」



付ける薬無し
病名:恋の病


end
(2010/09/20)
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