桔ザク
色鮮やかなソレに手を伸ばした……
「ハハン、どうしましたザクロ?」
「別に、何でもねーぜバーロー」
触れたのは、長く、微風によりサラサラと揺れていた髪。
ゆるく握ったソレは、桔梗が振り返るとスルリと手から逃げた。
「おかしな人ですね、貴方から手を伸ばして何もないなんて」
女よりも細く整った指先を伸ばし桔梗は鮮やかな紅色の髪を撫でた。
「何すんだバーロー……」
「綺麗だと思ったから触りました、いけませんか?」
「……別に」
艶やかに笑っていた桔梗は、炎の様に赤い髪を一筋その指に絡め取った。
「おいッ……」
「意味はありませんよ、ただ綺麗なものを手にとって見たいだけですから」
指に絡めた髪に軽く口付けてから桔梗は指を離した。
「貴方も同じでしょう?」
「…………」
首をかしげ口もとに笑みを湛えながら桔梗は囁いた。
その時、色鮮やかな長い髪が肩を滑り光に照らされて光彩を放った。
「ああ……そうだバーロー」
綺麗なものに
手を伸ばす、自分のモノにしたかったから。
end
(2010/01/12)
「ハハン、どうしましたザクロ?」
「別に、何でもねーぜバーロー」
触れたのは、長く、微風によりサラサラと揺れていた髪。
ゆるく握ったソレは、桔梗が振り返るとスルリと手から逃げた。
「おかしな人ですね、貴方から手を伸ばして何もないなんて」
女よりも細く整った指先を伸ばし桔梗は鮮やかな紅色の髪を撫でた。
「何すんだバーロー……」
「綺麗だと思ったから触りました、いけませんか?」
「……別に」
艶やかに笑っていた桔梗は、炎の様に赤い髪を一筋その指に絡め取った。
「おいッ……」
「意味はありませんよ、ただ綺麗なものを手にとって見たいだけですから」
指に絡めた髪に軽く口付けてから桔梗は指を離した。
「貴方も同じでしょう?」
「…………」
首をかしげ口もとに笑みを湛えながら桔梗は囁いた。
その時、色鮮やかな長い髪が肩を滑り光に照らされて光彩を放った。
「ああ……そうだバーロー」
綺麗なものに
手を伸ばす、自分のモノにしたかったから。
end
(2010/01/12)