REBORN!
「ヴェル公は特撮物が好きですねー」
「別にこれと言って好きな訳ではない。ただ、玩具を売るための子供だましにしては、よく計算されて作られていると思うだけだ」
じっとテレビを見ながら言うヴェルデ。
そんなヴェルデを膝の上に乗せ、その頭の上に顎を乗せていたフランはテレビに見入りながら言った。
「ミーはこう言う子供だましのチープな所が好きですねー」
特撮物番組が終わった後、女の子向けのアニメが始まる前にテレビを消し。
フランは早々に膝の上から降りたヴェルデに向かって声をかけた。
「じゃあヴェル公、今からさっきのロボットで遊びましょう」
「どうやって遊ぶつもりだ?」
「ミーが出しまーす」
幻術で出したロボットの一体をフランはヴェルデに渡した。
渡されたロボットをまじまじと見てヴェルデは感心したように呟いた。
「ほう、よく出来ている」
「ちゃんと変形もしますよー?変形ー」
「ん? ……ッ!?」
ワサッと出てきた触手に鳥肌を立ててヴェルデはロボットから手を離した。
「あれ? 駄目じゃないですかヴェル公、ちゃんと持ってないと」
「貴様といい、マーモンといい……どうして術士は意味もなく触手を出すのだ!?」
「えーこの方が楽しいじゃないですかー」
うにょうにょと触手が飛び出るロボットを持ち上げ、首を傾げながらフランは言った。
「ほらここの関節らへんとか無機物と有機物の融合的でカッコイイですよー」
「どこがだ!?こんな変形があってたまるものか!」
物理的にありえない箇所の列挙が始まった。
猛然と続けられる話の半分以上を聞き流しながらフランは口を挟んだ。
「ヴェル公は以外と細かいところを気にしますねー?」
「どこが細かい?!」
「だいたい、あの番組の中で出てきた通りに変形するとかの方が無理ですよー」
「……少し待っていろ」
立ち上がりスタスタと歩き出したその後ろ姿に、フランは声をかけた。
「どこに行くんですか? ヴェル公?」
「私があの番組と同じようにロボットが変形する事を証明しよう」
そう言ったきり自室へと戻ったヴェルデに、フランはキョトンとした表情で首を傾げた。
数分後、部屋から出てきたヴェルデはフランへとミニサイズのロボットを渡した。
「おースゲー、本物みたいですねー」
「これで番組の通りに変形することが証明できたな」
フランがロボットで遊ぶのを眺めながらヴェルデは満足気に言った。
ひとしきりロボットの変形をさせていたフランは、ふと窘めるような顔をしてヴェルデを見た。
「でも、駄目ですよーヴェル公、盗んできたものを堂々と出したら」
「なぜ私が盗んできたと思うんだ!?」
「だって師匠がこんな高いものを買うおこずかいくれる訳無いじゃないですかーゲーム機だって一人一台なくて兼用だし、犬兄さんなんてペットボトルとかでボウリングしてるんですよー」
「だから、これは私が」
「犬兄さん達がお金がなさ過ぎて、おやつを駄菓子屋の一個十円のガムで妥協したり、麦チョコがご飯だったりするぐらいの貧乏なのにどうやって買うんですかー?」
「だから、これは先ほど私が作ったものだ!」
根本的に認識が間違っている、とヴェルデは叫んだ。
その反応にロボットで遊んでいたフランは少し考えてから口を開いた。
「分かりました、そこまで言うならもう一体ヴェル公が別のを作れたら認めます」
「よし、そこで待っていろ、今すぐに作ってくる!!」
自室へと走りながら戻るヴェルデ。
その背中にフランは気の抜けた声をかけた。
「ヴェル公がんばってくださーい。…………騙しやすくて大好きですよー」
子供だまし
「これでもう一体手に入りますねー」
end
(2012/09/11)
「別にこれと言って好きな訳ではない。ただ、玩具を売るための子供だましにしては、よく計算されて作られていると思うだけだ」
じっとテレビを見ながら言うヴェルデ。
そんなヴェルデを膝の上に乗せ、その頭の上に顎を乗せていたフランはテレビに見入りながら言った。
「ミーはこう言う子供だましのチープな所が好きですねー」
特撮物番組が終わった後、女の子向けのアニメが始まる前にテレビを消し。
フランは早々に膝の上から降りたヴェルデに向かって声をかけた。
「じゃあヴェル公、今からさっきのロボットで遊びましょう」
「どうやって遊ぶつもりだ?」
「ミーが出しまーす」
幻術で出したロボットの一体をフランはヴェルデに渡した。
渡されたロボットをまじまじと見てヴェルデは感心したように呟いた。
「ほう、よく出来ている」
「ちゃんと変形もしますよー?変形ー」
「ん? ……ッ!?」
ワサッと出てきた触手に鳥肌を立ててヴェルデはロボットから手を離した。
「あれ? 駄目じゃないですかヴェル公、ちゃんと持ってないと」
「貴様といい、マーモンといい……どうして術士は意味もなく触手を出すのだ!?」
「えーこの方が楽しいじゃないですかー」
うにょうにょと触手が飛び出るロボットを持ち上げ、首を傾げながらフランは言った。
「ほらここの関節らへんとか無機物と有機物の融合的でカッコイイですよー」
「どこがだ!?こんな変形があってたまるものか!」
物理的にありえない箇所の列挙が始まった。
猛然と続けられる話の半分以上を聞き流しながらフランは口を挟んだ。
「ヴェル公は以外と細かいところを気にしますねー?」
「どこが細かい?!」
「だいたい、あの番組の中で出てきた通りに変形するとかの方が無理ですよー」
「……少し待っていろ」
立ち上がりスタスタと歩き出したその後ろ姿に、フランは声をかけた。
「どこに行くんですか? ヴェル公?」
「私があの番組と同じようにロボットが変形する事を証明しよう」
そう言ったきり自室へと戻ったヴェルデに、フランはキョトンとした表情で首を傾げた。
数分後、部屋から出てきたヴェルデはフランへとミニサイズのロボットを渡した。
「おースゲー、本物みたいですねー」
「これで番組の通りに変形することが証明できたな」
フランがロボットで遊ぶのを眺めながらヴェルデは満足気に言った。
ひとしきりロボットの変形をさせていたフランは、ふと窘めるような顔をしてヴェルデを見た。
「でも、駄目ですよーヴェル公、盗んできたものを堂々と出したら」
「なぜ私が盗んできたと思うんだ!?」
「だって師匠がこんな高いものを買うおこずかいくれる訳無いじゃないですかーゲーム機だって一人一台なくて兼用だし、犬兄さんなんてペットボトルとかでボウリングしてるんですよー」
「だから、これは私が」
「犬兄さん達がお金がなさ過ぎて、おやつを駄菓子屋の一個十円のガムで妥協したり、麦チョコがご飯だったりするぐらいの貧乏なのにどうやって買うんですかー?」
「だから、これは先ほど私が作ったものだ!」
根本的に認識が間違っている、とヴェルデは叫んだ。
その反応にロボットで遊んでいたフランは少し考えてから口を開いた。
「分かりました、そこまで言うならもう一体ヴェル公が別のを作れたら認めます」
「よし、そこで待っていろ、今すぐに作ってくる!!」
自室へと走りながら戻るヴェルデ。
その背中にフランは気の抜けた声をかけた。
「ヴェル公がんばってくださーい。…………騙しやすくて大好きですよー」
子供だまし
「これでもう一体手に入りますねー」
end
(2012/09/11)