断片話

◆有能上司?


「俺も本気を出せばこれぐらいできるよ」

誇らしげに言う団長。いつの間にか処理されていた書類。
まさかと思い残らずさっと確認をすると、多少字が汚いが書き方は合っている。

「…………夢か?」

激しくめまいに襲われそうだった。あの団長がデスクワークをしたと言うだけで卒倒ものの事実。
夢だと思った方がまだましだった。

「阿伏兎、これで当分忙しいなんて言えないよね?」
「まさか……俺が仕事が忙しくて取り合わなかったから、これをやったのか?」
「そうだよ? 阿伏兎が眉間に皺を寄せて仕事してるのを見てるのもいいけど、詰まんないから終わらせてあげた」

ケラケラと笑いながら言う団長に、今度こそ泣きたくなった。なぜもっと早く……

「阿伏兎ー? どうしたの脱力しちゃって?」
「今までの心労が一気に来ただけだ、このすっとこどっこい……」


(2011/01/02)
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