かむあぶ
ずるずると壁ずたいに廊下を歩きながら、体に渦巻く熱は冷めそうになかった。
間抜け過ぎた。
今更ながらに自分の行動を思い出し、舌打ちをしたくなった。
あのアホ提督に食事を勧められた時点で、何かが可笑しいと思うべきだった。
何故、団長格でもない自分に食事が出るのか疑問に思うべきだった……
必要以上に勧める相手に、仕方なく並べられた料理を食べたが、微妙な違和感を覚えた。
言葉を駆使して、何とか酒を勧められる前に部屋を出たのはいいが、体に籠もる熱は増すばかりだった。
「阿伏兎のバーカ」
「団、長……」
何でいるんだと言いたかったが、言葉を続けられるほどの余裕はなかった。
「だから言っただろ、アホ提督の所へ行くなって、それなのに俺の命令無視して会いに行くなんて……本当に、バカだね」
口元で笑い、冷ややかに見上げてくる青い瞳は、狂おしいまでの炎が揺らめいていた。
「侘びに、行っただ「言っただろ、阿伏兎。お前は狙われてるって」
言葉を遮り、子供に言い聞かせるように優しげに神威は言い放ち。
熱に犯された体を壁へと押さえ込んだ。
「無様だね。心配して来てみれば、案の定危ない目にあってるし」
ゆっくりと服へと手をかけ丁寧にボタンを外していく神威は、布が擦れるのさえ過敏に反応する体を見て目を細めた。
「誰か来たらッ…!」
どうするつもりだと言う前に、神威は口元へ人差し指を当て、黙らせた。
「大丈夫、声を抑えてれば気付かれないよ」
「このすっとこどっこい!」
「阿伏兎のためにやってるのに、耐えられるって言うなら俺も寝室まで連れてってあげるけど……辛いだろ?」
此処が何処なのか、本当にわかっているのかと目の前の人物を睨んだ。
通行人はほとんどいないとは言え、春雨戦艦内の廊下、いつ誰が来てもおかしくはない場所だった。
それにも関わらず、神威は止めると言う事を始めから考えていないようだった。
無様にも服をはだけさせられ、止めさせようと抵抗をしたかったが、熱のせいで力を籠める事さえ出来なかった。
「あぁッ…!」
「阿伏兎、声大きいよ、誰か来てもいいの?」
「誰の、せいだッ」
「間抜けにもアホ提督の前で油断した阿伏兎のせい」
「ち…が…!」
「違う? 何処が? 言ってごらん、何処が違うの、こんなにはしたないのは阿伏兎が淫乱だから?」
可愛らしく微笑み、その手に握るのは……
「凄いよね、少し触っただけで此処まで乱れて、自分の慣らすためのものまで用意しちゃうんだから」
ぐちゅりと湿った音をたてて、先走った粘液を指へと絡める神威は面白そうにソレを眺めた。
「薬のッ、せいだ!!」
捲くし立てるように怒鳴りつければ、神威は黙らせるように鋭い眼光で見上げてきた。
「薬……ね、誰に盛られたの?」
口元に笑みを浮かべ、回答を促す神威。
命令を無視し、無様にもこんな状態になった事に対しての再確認のための問い。
「……提督に」
「そうだね、あのアホ提督に盛られたんだよね……何で盛られたのかな?」
熱をあと少しで吐き出せそうな中、塞き止められながら促された。
「団長の、命令を無視したからだッ」
いい加減にしてくれと、熱に浮かされる中叫びたくなった。
「そうだね……阿伏兎、理解した? 俺の言う事を聞かないからこうなったんだよ」
「重々にッ、理解いたしました」
狂いそうなほどの熱により涙腺がゆるみ、息も絶え絶えになりながら言えば、
神威はゆるやかに笑みを浮かべながら、口を開いた。
「じゃあ、次からは俺の命令には絶対に逆らわない事」
「――ッ…!」
「いいね、阿伏兎?」
命令違反
鈍感者の後悔
end
(2010/06/25)
間抜け過ぎた。
今更ながらに自分の行動を思い出し、舌打ちをしたくなった。
あのアホ提督に食事を勧められた時点で、何かが可笑しいと思うべきだった。
何故、団長格でもない自分に食事が出るのか疑問に思うべきだった……
必要以上に勧める相手に、仕方なく並べられた料理を食べたが、微妙な違和感を覚えた。
言葉を駆使して、何とか酒を勧められる前に部屋を出たのはいいが、体に籠もる熱は増すばかりだった。
「阿伏兎のバーカ」
「団、長……」
何でいるんだと言いたかったが、言葉を続けられるほどの余裕はなかった。
「だから言っただろ、アホ提督の所へ行くなって、それなのに俺の命令無視して会いに行くなんて……本当に、バカだね」
口元で笑い、冷ややかに見上げてくる青い瞳は、狂おしいまでの炎が揺らめいていた。
「侘びに、行っただ「言っただろ、阿伏兎。お前は狙われてるって」
言葉を遮り、子供に言い聞かせるように優しげに神威は言い放ち。
熱に犯された体を壁へと押さえ込んだ。
「無様だね。心配して来てみれば、案の定危ない目にあってるし」
ゆっくりと服へと手をかけ丁寧にボタンを外していく神威は、布が擦れるのさえ過敏に反応する体を見て目を細めた。
「誰か来たらッ…!」
どうするつもりだと言う前に、神威は口元へ人差し指を当て、黙らせた。
「大丈夫、声を抑えてれば気付かれないよ」
「このすっとこどっこい!」
「阿伏兎のためにやってるのに、耐えられるって言うなら俺も寝室まで連れてってあげるけど……辛いだろ?」
此処が何処なのか、本当にわかっているのかと目の前の人物を睨んだ。
通行人はほとんどいないとは言え、春雨戦艦内の廊下、いつ誰が来てもおかしくはない場所だった。
それにも関わらず、神威は止めると言う事を始めから考えていないようだった。
無様にも服をはだけさせられ、止めさせようと抵抗をしたかったが、熱のせいで力を籠める事さえ出来なかった。
「あぁッ…!」
「阿伏兎、声大きいよ、誰か来てもいいの?」
「誰の、せいだッ」
「間抜けにもアホ提督の前で油断した阿伏兎のせい」
「ち…が…!」
「違う? 何処が? 言ってごらん、何処が違うの、こんなにはしたないのは阿伏兎が淫乱だから?」
可愛らしく微笑み、その手に握るのは……
「凄いよね、少し触っただけで此処まで乱れて、自分の慣らすためのものまで用意しちゃうんだから」
ぐちゅりと湿った音をたてて、先走った粘液を指へと絡める神威は面白そうにソレを眺めた。
「薬のッ、せいだ!!」
捲くし立てるように怒鳴りつければ、神威は黙らせるように鋭い眼光で見上げてきた。
「薬……ね、誰に盛られたの?」
口元に笑みを浮かべ、回答を促す神威。
命令を無視し、無様にもこんな状態になった事に対しての再確認のための問い。
「……提督に」
「そうだね、あのアホ提督に盛られたんだよね……何で盛られたのかな?」
熱をあと少しで吐き出せそうな中、塞き止められながら促された。
「団長の、命令を無視したからだッ」
いい加減にしてくれと、熱に浮かされる中叫びたくなった。
「そうだね……阿伏兎、理解した? 俺の言う事を聞かないからこうなったんだよ」
「重々にッ、理解いたしました」
狂いそうなほどの熱により涙腺がゆるみ、息も絶え絶えになりながら言えば、
神威はゆるやかに笑みを浮かべながら、口を開いた。
「じゃあ、次からは俺の命令には絶対に逆らわない事」
「――ッ…!」
「いいね、阿伏兎?」
命令違反
鈍感者の後悔
end
(2010/06/25)