かむあぶ

たまには、阿伏兎から求めてもいいと思うんだけど?


「団長ッ……」
「どうしたの、阿伏兎」


だってそうだろ?
いつだって自分からは求めてません、て顔してるんだもん。

「あんた……何考えてんだ」
「さぁ、なんだろうね?」

そっと肌に触ればビクリと震える体、ギロリと睨みつけてくる目さえ涙で潤んでいた。

「何盛りやがったんだ団長」
「なんのこと?」
「とぼけるなッ」
「アハハ! 何だばれてるんだ」

まぁ、阿伏兎に何か盛れるのなんか俺しかいないし。


「そんなに、あんたを求めない俺が嫌いか?」
「ん~、嫌いじゃないけど、たまには求めて欲しいって思うのが男でしょ?」
「くだらないねぇ……ッ!!」

服を脱がせようとしただけで崩れ落ちた、
体を震わせ耐えるように歯を食いしばる阿伏兎を無理矢理抱え上げる。


「ほら、早くあきらめて求めろよ阿伏兎」
「冗談じゃねぇ」
「そう……」

あーあ、せっかく強力な薬使ったのに、睨みつけてくる目は全然諦めてない。
でも、そんな態度も今だけかな?

「じゃあ、しばらく俺は何もしないであげるよ」
「っ!?」

痙攣するように震える阿伏兎を、ギュッと抱きしめたままの体勢で動きを止めた。


「耐えられなくなったら、いつでも言ってね、阿伏兎?」



はやく求めろよ
そうしたら、いくらでも優しくしてあげるよ?


end
(2010/04/18)
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