萌語り

◆注:オメガバース

α神威×β阿伏兎を想像したら萌えた。
逆立ちしてもαとβでつがいになれない関係だと達観してる阿伏兎とか。
αとΩのつがいの繋がりの方が、αとβのちゃちな関係より強かったりする世の中。
いつかはΩの誰かとつがいになるだろう神威の気持ちしだいの脆い関係とか。
夜兎族好きな阿伏兎としては、優秀な遺伝子は残して欲しいと思ってたり。
団長の運命の相手がいるなら、さっさと出て来てくれ状態の毎日。
一方、阿伏兎がいいのにΩが運命の相手だと言われ続けてる神威。
αが貴重なのは分かるけど、露骨に気持ちを蔑ろにされるのは納得がいかない。
口で言っても分からないなら――とか物騒な考えも頭の片隅程度にはあったり。
と、言う感じのオメガバースかむあぶ。

「団長。いい加減つがいを見つけようとは思わんのか?」
「俺のつがいは阿伏兎だって前から言ってるだろ」
「αとβじゃ、つがいにはなれんと何回言えば分かるんで?」

αとβの男同士の組み合わせほど不毛なものはない。
非常識を地でいく神威に対し、阿伏兎はため息を吐いた。

「たく、βに種付けをどれだけしようが孕む訳ないだろ」
「そこは気合いでなんとかしようよ」
「いや、無理だからね。体の構造的に無理だからね」
「俺も頑張るから。どうせなら今から一発しようか」
「無理だって言ってんだろ。聞いてんのかコンチクショー」
「だって俺、阿伏兎以外とヤるつもりないよ?」

ニコニコとした笑顔で宣言をする神威。
全くもってΩとのつがいを作る気のない相手に、阿伏兎は肩を落とした。

「いい加減、体力的にきついんですがねぇ」

優秀な遺伝子を残すためのαの特徴と言うべきか、アレの時間がやたらと長い。
平凡の極みとも言えるβの身には、歳の差もあってかかなりキツイ。
それでもギリギリ耐えられるのは夜兎族だからだろう。

「夜兎族の数少ないα、それよりもさらに数少ないΩか……」

引き合わせるにしても、すでに夜兎族内にいるかすら怪しい確率。
神威の運命の相手、そんな人物がいるなら、今すぐにでも来て欲しかった。



(2014/08/10)
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