かむあぶ

――俺達古い夜兎は 夜王と共に 月に還るとするか――


「そんな事、許すわけないだろ」



目の前に浮かぶ月を見上げながら思う。
月になんか還さないと……


「だいたい、鳳仙と還るなんてもっと許せないよ」


1人でも還さないのに、後追いなんてもっと許せるはずは無い。



「団長、何やってるんですかい?」

探しに来た阿伏兎が、瓦礫の山を登りながら近づいてくる。

「ん? 別に……」
「よく月を眺めてますけど、帰るつもりですか?」
「…………」



それを、お前が言うなよと思った……



近づいてきた阿伏兎の頭を思いっきり殴った。

「イッてぇ!? 何しやがんだ、このすっとこどっこい!!」
「さあね」
「この、暴力上司が!!」




どっちが悪いんだよ
人の気も知らないで。



end
(2010/01/16)
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