かむあぶ

酒の席で迫られるなんて聞いたことも無かったねぇ……



「あん時の夜兎」
「団長のお気に入りの銀髪侍か……」


珍しく地球で羽根を伸ばしていた。団長といたら気が休まらないからな。


「なに、あんたあの神楽の兄ちゃんどうしたの?」
「たまには俺だって団長から解放されたいさ」
「へ~」

ちびりちびりと酒を飲みながら、隣に座った者どうし、ぽつりぽつりと話す。

「そう言うあんたは何で俺の隣にずっといるんだ?」
「別に~ただ席が空いてなかっただけだし」
「ほ~う、じゃあもう空いてる所がでたからそっちへ行けば良い」
「ちょっ……いや、別にッ、此処に座っちゃったし、めんどいからいいじゃん」

空席ができた方を見ながら促す様に言うと、あわてたように相手は言い訳をし始めた。



「……で? 地球の蛮族さんは何をたくらんでるんだ」
「………………えっ?」
「空いた席があるのに、どうして俺の隣に座っている必要がある? しかも俺は夜兎だ、片手でお前さんを殺すことぐらいわけない話だ……
 以上のことからお前さん何かたくらんでるんだろ?」


「別に……ただあんたと酒を飲みたかっただけさ」

気まずげに頬をかきながら相手は言う。


「それはそれは、もの好きだねぇ」
「ついでに、酔っ払ってくれればお持ち帰りたかったんだよ」
「団長様がいなくて良かったなぁ、いたらあんた死んでたぜ?」
「じゃあ、あのガキ倒せばあんたを貰えるの?」


「その時は俺が……」




お前さんを殺してやるよ
『あーあ……ふられちゃった』



end
(2010/01/13)
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