かむあぶ

「かわいいな~寺門通って」
「はい、はい」


何でソレを俺に言いますかねぇ、団長様?
(かなり疑問系ではあるが)仮にも恋人の前だぜ……
テレビに映っているのは地球産のアイドル寺門通、可愛らしいですけどね。


「この子のライブに行こうかなー」
「何処にでも行けよ、このすっとこどっこい」


あーもー、ガキの移り気の激しい感情に、おじさんついていけないねぇ。
こちとら、一人を見てるだけで精一杯なんだよ。
何なんだまったく、二股宣言ですか?

……ん? 二股も何も、根本からして勘違いってのもあるのか?
だいたい、団長が好きだ何だと言ってるが、やってる事はセフレとたいしてかわらんなぁ、そう言えば……

あー……考えるの止めるか、団長とはセフレだった、ゆえに団長が何を思おうと関係ない。
よし、決まったところで今日から団長とヤるのも止めるか、めんどうだったからな。


「阿ー伏兎」
「何ですか団長?」

考えがまとまったところで団長から声がかかり視線を団長へと移す。

「今、すごく失礼な事考えてた?」
「…………」

プツリと切られたテレビ、たしかまだ歌の途中だったはずだ。

「俺がアイドルのこと可愛いとか会いに行こうかなって言った後、俺との関係がセフレかな、とか考えただろ?」
「違いましたかねぇ?」
「……考えたんだ」

いつもの笑みを絶やしはしないが、あからさまにムッとした雰囲気で近づいてきた。

「俺が好きなのは阿伏兎だけだよ」
「そうですか」
「信じてないね?」



わかるように説明してください
おじさん、若い子の考えはわかりませんから。


end
(2010/03/05)
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