かむあぶ 2

「どうして俺が阿伏兎を捨てるなんて思うの?」
「どうして、と言われましてもねぇ」

珍しくもヘマをしズタボロ状態で上司に肩を借りての帰り道。
まともに一人で歩けもしない部下の戯言を拾った上司の言葉に阿伏兎は言い淀み。
そんな部下の様子を知ってか知らずか、いつもの笑みを神威は浮かべた。

「酷いなぁ。そんなに俺って信用がなかったんだ」
「いや信用以前に、日頃の行いを鑑みれば使い捨ての駒程度に思えれば上等の部類だろ」
「そこがそもそも酷いよ。こんなに特別扱いしてるのに」
「特別扱いねぇ?」


どこら辺がそうなのかと阿伏兎は片眉を上げた。
面倒事を押し付けるのは当たり前。好き勝手自由奔放に行動し尻拭いは部下任せ。
特別扱いも、ただ迷惑をかける割合が多い人物程度の意味合いしかないだろと。


「例え誰が副団長でもあんたは変わらずに過ごすだろうに、とか阿伏兎は思ってそうだけど。生憎と俺はそこまで図太い神経はしてないよ」


意外と繊細な方だから、と冗談としか思えない口調で言葉は紡がれ。
そういう所が信用できん理由だと阿伏兎は掴みどころのない上司に対し鼻白んだ。



信用性
「それより阿伏兎。そろそろ肩貸すの疲れてきたからさ」
「はいはい、ぼちぼち一人で歩けと」
「横抱きとファイヤーマンズキャリー、どっちがいい?」
「……は?」


end
(2025/03/29)
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