断片話

◆黙秘権はない
(三凶星×若阿伏兎前提かむあぶ)

「阿伏兎ってあの女狐が好きだったんだよね?」
「だから何度言えば分かる、俺はアレに関わってなんざ」
「面白い話を随分前に猩覚団長から聞いたんだ、派閥争いに負けた狐を逃がした兎の話を」
「…………」
「そう言えば、アレっていつだったっけ? 俺が入りたての頃、阿伏兎がしばらくいなかった時期って」

探しても見つからなかった数日間。
鳳仙に命令を受けていたわけでもなく、ある日ふらっといなくなったのは。
何事もなかったとはお世辞にも言えない姿で帰ってきたのは。

「いつだっけ? 阿伏兎」


(2017/01/10)
98/98ページ