断片話

◆ようこそ悪党への道へ


「いい面構えのガキが来たもんだ」

どれほど幼かろうと容赦のない裏社会。
そんな場所に好んで飛び込んできた子兎を遠目に眺め、苦笑した。

「悪党への道を選んだか。まあ、それも一つの選択肢だ」

とある星で、小さいながらに妹を護ろうとした兄はこの場にはいない。
護るべきモノを諦めたか、護るべきモノを捨てたか。
あの目を見れば想像はつくが、深入りはしまい。

「歓迎するぜ、子兎。せいぜい後悔しなけりゃいいな?」


(2016/03/20)
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