断片話

◆心配しない


団長が怪我をして帰って来ているのは、とうに見抜いていた。
それでも、毎度何でもないように笑顔でいる姿を見て、訊こうとは思わなくなった。
どうにも団長は人からあからさまに心配されるのが苦手らしい。

だから、どれだけ大怪我をしてこようと、それを理由に団長の行動を制したりはしない。
もっとも、別の理由を付けて制する事はあるが。

怪我を理由に団長の行動を止めれば、殺されかねん。
単純な団長を騙しつつ、怪我が治るまで大人しくしてもらうのがベストな選択だ。
そう、よくよく団長を眺めながら理解した。

だから、表立っては怪我について心配してやらない事にした。


(2015/04/11)
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