断片話

◆惚れる病に薬あり


「おかえり阿伏兎。どうしたのソレ? 新手のプレイ?」
「何をどう見れば、これが新手のプレイに見えるんで?」
「どうって言われても、自分から目隠ししてるからSMプレイでもしたいのかなって」
「勘違いするな、団長。これは少し出先でヘマやらかして、応急処置で付けてるだけだからな」
「俺そっち系に興味あんまりないんだけど、阿伏兎が興味あるなら付き合うよ?」
「人の話を聞け!」

話が進まんだろと怒鳴りつけた阿伏兎は、手探り状態で神威の近くへと座り込んだ。

「で、応急処置って何? 目でもやられたの?」
「まぁ、目をやられたと言えばやられたな」
「早めに医療班に行ったら?」
「さっき行った帰りだ」
「ふーん。全治何日?」
「さてなぁ、愛染香の効果が切れるまで、だろうな」
「愛染香? ……あー、あの惚れ薬、まだあったんだ」

埃を被りまくった昔の記憶から思い出した神威は、感心したように呟いた。
興ざめもいい所の惚れ薬の効果なら、師匠であった夜王鳳仙から聞いたことがあった。

「とっくにカビが生えてる代物だと思ってたけど?」
「今回の出先じゃ、現役バリバリに使われてたぜ」
「それで? 間抜けにも阿伏兎はソレを吸っちゃった訳だ」
「手厳しい意見で」


(2014/07/19)
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