断片話
◆白い蛮族
(白夜叉銀時×若阿伏兎)
「たく、鳳仙の旦那も人使いの荒い」
すげなく対応され、上との関わりなど取る気も媚びへつらう気もないと言われた。
それをどう上に報告するかは丸投げ状態でだ。
ただ一言、帰りには地上にいる侍どもに気をつけろと言われただけだった。
暴君と言ってもいいほどの態度、それを許すのは絶対的な力。
同じ種族に名を連ねてはいるが、夜王とまで言われた夜兎族の頂点との差など、天と地ほどもある。
「『侍』ねぇ? 地球の蛮族に気をつけろなんて、とてもお優しい忠告、心に響きますよコンチクショー」
春雨に戻る道中、限りなく足取りが重かった。
■
此方が真っ黒だとすれば、相手は真っ白だった。
「あんた、天人か?」
「仮に、此処で地球人だと言って、お前さんは信じるのかい?」
地球人に雨も降らないのに傘をさす習慣がある訳がない。
特徴的とも言っていい白肌に番傘。
どれも夜兎族ですと名札を付けて歩いているようなものだった。
暫く互いに見据えあい、先に相手が刀を下した。
「天人にも、好戦的じゃないのがいるんだな」
「そりゃ……」
何かの間違いだろ、と真逆の感想を言われ言い返したくなったが、黙っておいた。
勝手に勘違いした方が悪い。
■
「地球人は、何処までいっても頭が悪い」
どうしてそこまで奪われたものを取り返そうとするのか。
二度と目にすることのないであろう白い背。
仲間と共に駆け出した侍と呼ばれる地球人は、先の見えない戦いへと向かうのだろう。
「ビジネスでもねぇのに戦場に向かうなんざ、物好きな奴だ」
血の匂い煙る戦場。
そんなモノ、今や夜兎族ですら仕事でしか向かわない。
「馬鹿な蛮族だ」
(2014/02/09)
(白夜叉銀時×若阿伏兎)
「たく、鳳仙の旦那も人使いの荒い」
すげなく対応され、上との関わりなど取る気も媚びへつらう気もないと言われた。
それをどう上に報告するかは丸投げ状態でだ。
ただ一言、帰りには地上にいる侍どもに気をつけろと言われただけだった。
暴君と言ってもいいほどの態度、それを許すのは絶対的な力。
同じ種族に名を連ねてはいるが、夜王とまで言われた夜兎族の頂点との差など、天と地ほどもある。
「『侍』ねぇ? 地球の蛮族に気をつけろなんて、とてもお優しい忠告、心に響きますよコンチクショー」
春雨に戻る道中、限りなく足取りが重かった。
■
此方が真っ黒だとすれば、相手は真っ白だった。
「あんた、天人か?」
「仮に、此処で地球人だと言って、お前さんは信じるのかい?」
地球人に雨も降らないのに傘をさす習慣がある訳がない。
特徴的とも言っていい白肌に番傘。
どれも夜兎族ですと名札を付けて歩いているようなものだった。
暫く互いに見据えあい、先に相手が刀を下した。
「天人にも、好戦的じゃないのがいるんだな」
「そりゃ……」
何かの間違いだろ、と真逆の感想を言われ言い返したくなったが、黙っておいた。
勝手に勘違いした方が悪い。
■
「地球人は、何処までいっても頭が悪い」
どうしてそこまで奪われたものを取り返そうとするのか。
二度と目にすることのないであろう白い背。
仲間と共に駆け出した侍と呼ばれる地球人は、先の見えない戦いへと向かうのだろう。
「ビジネスでもねぇのに戦場に向かうなんざ、物好きな奴だ」
血の匂い煙る戦場。
そんなモノ、今や夜兎族ですら仕事でしか向かわない。
「馬鹿な蛮族だ」
(2014/02/09)