断片話
◆外出許可
「何処に行く積もり? 阿伏兎」
振り返れば、いつの間にか起きていた神威がいた。
ニコニコとした笑みを向けてくる相手は、さも楽しげに訊いてきた。
「俺に内緒で何処に行く積もりだったの?」
「書類の提出しにだ」
「書類を一枚も持たずに?」
「…………」
寝起きのくせによく見てやがると、阿伏兎は内心で悪態をつきたくなった。
「本当に、何処に行く積もりだったの?」
「この部屋以外の場所だ」
「第八師団の勾狼団長? それともジジイ共? まさかの大穴で阿呆提督の所かな?」
「どれも外れだ」
「そっか、まだ足りなかったのかなって心配しちゃったよ」
ケラケラと笑う神威は立ち上がり、扉の近くにいた阿伏兎へと近づいた。
「ねえ、阿伏兎。どうして勝手に俺の傍から離れるの?」
「束縛されすぎると息がつまるもんだろ」
「だから、俺に一言もなく外に行く積もりだったの?」
傷つくなーと軽口を叩きつつ、神威は阿伏兎へと手を伸ばした。
(2013/11/15)
「何処に行く積もり? 阿伏兎」
振り返れば、いつの間にか起きていた神威がいた。
ニコニコとした笑みを向けてくる相手は、さも楽しげに訊いてきた。
「俺に内緒で何処に行く積もりだったの?」
「書類の提出しにだ」
「書類を一枚も持たずに?」
「…………」
寝起きのくせによく見てやがると、阿伏兎は内心で悪態をつきたくなった。
「本当に、何処に行く積もりだったの?」
「この部屋以外の場所だ」
「第八師団の勾狼団長? それともジジイ共? まさかの大穴で阿呆提督の所かな?」
「どれも外れだ」
「そっか、まだ足りなかったのかなって心配しちゃったよ」
ケラケラと笑う神威は立ち上がり、扉の近くにいた阿伏兎へと近づいた。
「ねえ、阿伏兎。どうして勝手に俺の傍から離れるの?」
「束縛されすぎると息がつまるもんだろ」
「だから、俺に一言もなく外に行く積もりだったの?」
傷つくなーと軽口を叩きつつ、神威は阿伏兎へと手を伸ばした。
(2013/11/15)