銀阿

『水瓶座、特に今日2月10日生まれの方、一日中最悪な日になります。アンラッキーアイテムはプレゼント。まともな物は貰えないと思っていた方が傷は浅くなります。以上ブラック星座占いでした』

「随分と辛口の占いだ」

新聞を広げながら何気なく聞いていたニュース。
最後の締めくくりに何気なく突っ込んだ。

「2月10日、か……」

地球人用の星座占いではあるが、少しは気になる。
それがピンポイントで自分の誕生日であれば特に。


「まあ、団長からのプレゼントだけは無いからマシか?」

新聞紙を折り畳み、机の上へと放り、そろそろ宿を出るかと支度を始めた。




「今朝のブラック星座占いとやらも、さほど当たらんかったな」

吉原及び鬼兵隊の動向も、さほど難航はせず調査できた。
予定通りに終わった事へ軽く安堵しつつ、もう一つの予定だった場所へと向かった。

「ん?」

万事屋へとあと少しで着くという時になってかかってきた電話。
おおよそ見当は着いていたが、改めて発信元名を確認し、ため息をつきそうになった。
いつまでも鳴り続ける着信音に、覚悟を決めて電話に出た。


『誕生日おめでとう阿伏兎』

気の抜けた声に祝われ、思わず肩を落とした。

「わざわざそれを言うためだけにかけたんですかい、団長?」
『つれないなー。せっかくプレゼントも用意したのに』
「ほぉ、あいにくと何光年と離れている地球じゃ、そのプレゼントも届きませんねぇ?」
『大丈夫だよ。心配しなくてもちゃんと届くプレゼントだから』

断言をする神威に、首を傾げそうになった。

「宅配便でも使ったのか?」
『やだなー阿伏兎は、そんな面倒な事俺がするわけないだろ?』
「だったら、届く訳がないだろ」
『届くよ? だって、阿伏兎へのプレゼントは、今すぐ春雨へ戻ってくる事だから』
「……はぁ?」

思わず間の抜けた声を出してしまった。

『アホ提督が急に仕事入れて俺一人だと面倒だから帰ってきて。その分アホ提督からは有給はぶん取るから』
「ちょっ、待て! 団長!!」
『港から後十数分で春雨直行の船が出るから乗り遅れないでね、阿伏兎』

がんばってねー、と応援とも思えない口調の言葉を最後に、ブツリと切れた電話。
目の前まで来ていた万事屋を前に、何とも言えない気分になった。


「ブラック星座占いか……当たるもんだなコンチクショー」


とりあえず、銀時へは後日に謝る事にした。



星座占い
当たるも八卦?


end
(2011/02/10)
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