断片話

◆見解の相違 


「弱いのはいらない。そう思わないの? 副団長さん」
「あいにくと、同族同士で喰い合うのは嫌いでね」
「共食いは嫌い?」
「そうだな、残り少ない同族内で喰い合い、数を減らすのは馬鹿らしいと思わんか?」
「俺はそうは思わない、強い奴だけ残って、弱いのは消えていく。それが自然だし、弱いのがいくらいても必要がないと思うよ」
「ガキの考えだな」
「そうかもね、でも、子供って得てして大人が言いにくい事を平気で言うものだろ?」
「一組織の上司ともなれば、立派に社会人だ、ガキの考え方はやめとけ」
「無法地帯の宇宙海賊でも社会人とは知らなかったなー」
「社会人だろうよ、裏社会のな」

ケラケラと笑う神威を前に、阿伏兎は間合いをはかった。
いつ相手が気を変えても対処できるよう、殺されず、殺しもしないだけの距離をとった。

「さっきから随分と間合いを確保してるけど、そんなに俺と戦いたくないの?」
「将来有望な夜兎は大好きでね。出来るだけ穏便にすませたいんだよ、団長様」
「ふ~ん」


(2013/09/27)
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