断片話
◆海賊ネタ
(銀+かむあぶ)
「だいたい、お前。全ての海賊を叩き潰すとか言ってただろ!」
「言うかそんな台詞!!」
「いーや、言いました。確かにガッツリと言いました。全ての海賊を叩き潰すとか言っときながら何コレ、逆に海賊王の道を切り開いてんじゃん、真逆行ってじゃんコレ」
「それ中の人ネタだからね! 言っちゃいかんネタであって俺が言ったわけじゃないからね!!」
戦闘前にしては妙に砕けた会話が響いた。
軽口を叩いていた銀時は急に真面目な顔で阿伏兎を見た。
「で、結局あの兄ちゃんは何がしたいわけ?」
「……知るか。こっちは団長の尻拭い役だ、余計な事なんざ興味がないんでね」
「あんたはそれでいいっての?」
「ごちゃごちゃと訊くな。しつこい男は嫌われるぞ?」
「あっそ。じゃあ、あんたぶっ倒した後で直に訊くは」
「はっ! 意気込みだけは立派だな。悪いが此処を通すなと命令されててね、直に会うことはできん話だ」
■
ボロボロの日傘を差した神威は、壁にもたれ掛っていた阿伏兎を見下ろした。
「何か、前にもこんな事があったね、阿伏兎」
「今回は相手が違うぞ、団長。地球一の蛮族『侍』だ」
「もっと悪いよ。手加減なしでこれ?」
「さぁな。何せ、あの時はどっかのバカの考えが分からんままに戦ってたからな。で? あんたの方はどうだったんだ」
「負けたよ。これ以上にないってぐらい負けて、ハゲと和解までしちゃったよ」
「ほぉ、じゃあ、今度から親父さんの小言が煩そうだ」
「不思議だね。俺達は黒く染まったらずっと黒いままのはずなのに、お侍さんのせいでハゲとコントまで出来ちゃうんだ」
「そうか……ま、地球のぬるま湯につかってるあんたを見れんのは残念だが、せいぜい親父さんやあの嬢ちゃんとコントでもなんでもすればいい」
「阿伏兎。俺は地球のぬるま湯になんか浸からないよ」
「は? 妹さんとも和解したんだろ? そのまま地球で平和ボケでも何でも出来るはずだ」
「だって、宇宙の海賊王にはまだなってないだろ?」
「上のジジイどもに睨まれる事必須な春雨に戻ると?」
「いいだろ。阿伏兎、夜兎族好きだし。それとも、第七師団の夜兎族達より俺をとる?」
「いや、俺は別に春雨を抜ける気はサラサラないが」
むしろ、神威が春雨に留まり続ける理由の方が思いつかない。
家族を捨てて春雨に入ったのなら、家族と和解したなら春雨から抜けるものだとばかり思っていた。
「帰る場所があるのも、いいと思っただけだよ」
「それが第七師団か?」
「阿伏兎の隣が、かな?」
「似合わん台詞だ」
(2013/02/10)
(銀+かむあぶ)
「だいたい、お前。全ての海賊を叩き潰すとか言ってただろ!」
「言うかそんな台詞!!」
「いーや、言いました。確かにガッツリと言いました。全ての海賊を叩き潰すとか言っときながら何コレ、逆に海賊王の道を切り開いてんじゃん、真逆行ってじゃんコレ」
「それ中の人ネタだからね! 言っちゃいかんネタであって俺が言ったわけじゃないからね!!」
戦闘前にしては妙に砕けた会話が響いた。
軽口を叩いていた銀時は急に真面目な顔で阿伏兎を見た。
「で、結局あの兄ちゃんは何がしたいわけ?」
「……知るか。こっちは団長の尻拭い役だ、余計な事なんざ興味がないんでね」
「あんたはそれでいいっての?」
「ごちゃごちゃと訊くな。しつこい男は嫌われるぞ?」
「あっそ。じゃあ、あんたぶっ倒した後で直に訊くは」
「はっ! 意気込みだけは立派だな。悪いが此処を通すなと命令されててね、直に会うことはできん話だ」
■
ボロボロの日傘を差した神威は、壁にもたれ掛っていた阿伏兎を見下ろした。
「何か、前にもこんな事があったね、阿伏兎」
「今回は相手が違うぞ、団長。地球一の蛮族『侍』だ」
「もっと悪いよ。手加減なしでこれ?」
「さぁな。何せ、あの時はどっかのバカの考えが分からんままに戦ってたからな。で? あんたの方はどうだったんだ」
「負けたよ。これ以上にないってぐらい負けて、ハゲと和解までしちゃったよ」
「ほぉ、じゃあ、今度から親父さんの小言が煩そうだ」
「不思議だね。俺達は黒く染まったらずっと黒いままのはずなのに、お侍さんのせいでハゲとコントまで出来ちゃうんだ」
「そうか……ま、地球のぬるま湯につかってるあんたを見れんのは残念だが、せいぜい親父さんやあの嬢ちゃんとコントでもなんでもすればいい」
「阿伏兎。俺は地球のぬるま湯になんか浸からないよ」
「は? 妹さんとも和解したんだろ? そのまま地球で平和ボケでも何でも出来るはずだ」
「だって、宇宙の海賊王にはまだなってないだろ?」
「上のジジイどもに睨まれる事必須な春雨に戻ると?」
「いいだろ。阿伏兎、夜兎族好きだし。それとも、第七師団の夜兎族達より俺をとる?」
「いや、俺は別に春雨を抜ける気はサラサラないが」
むしろ、神威が春雨に留まり続ける理由の方が思いつかない。
家族を捨てて春雨に入ったのなら、家族と和解したなら春雨から抜けるものだとばかり思っていた。
「帰る場所があるのも、いいと思っただけだよ」
「それが第七師団か?」
「阿伏兎の隣が、かな?」
「似合わん台詞だ」
(2013/02/10)