断片話
◆ハロウィンパーティー
オレンジと黒のツートンカラー、ついでに色とりどりの仮装。
どぎつくなった春雨の船内を歩きながら神威は首を傾げた。
「天人が仮装する必要性ってなんだろうね?」
「さぁな」
「俺はご馳走さえ食べられれば十分なんだけどなー」
「強制仮装じゃないだけましだろ」
会場に着き、更に極彩色になった視界から視線を反らし、阿伏兎の方を見た。
「だいたいさ、いつもの姿でも十分仮装してるだろ天人って」
「そうか?」
「そうだよ、例えば前方に見える二足歩行の犬とか」
「人に向かって指差すな団長。ありゃ、第八師団の勾狼団長だろ」
「肥えた豚がキンキラキンに着飾ってるのとか」
「…………」
会場内の壇上で延々と喋り続けている阿呆提督を指し示す神威に、コメントさえ出なかった。
たしかに肥え太ってはいるが言っちゃいかんだろ、と阿伏兎はため息をついた。
長々と続いていた開催の挨拶が終わると、各自一斉に料理へと群がり始めた。
テーブルの近くに陣取っていた神威は、すでに並べられていた料理を大破させる勢いで食べ始めていた。
「こう言う会場で食べるのってなんか物足りなく感じるよね」
「団長、口に物詰め込みながら喋るな、このすっとこどっこい」
「あ、阿伏兎ー、その料理何?」
「食いたいなら自分で取れ」
「両手が塞がってるからムリ」
右手に肉の塊、左手にこれでもかと料理を盛った皿。
どっちかを置けばいいだろとも言いたくなったが、言うだけ無駄かと悟り。
笑顔で待っている神威の口へと料理を放り込んだ。
(2012/10/31)
オレンジと黒のツートンカラー、ついでに色とりどりの仮装。
どぎつくなった春雨の船内を歩きながら神威は首を傾げた。
「天人が仮装する必要性ってなんだろうね?」
「さぁな」
「俺はご馳走さえ食べられれば十分なんだけどなー」
「強制仮装じゃないだけましだろ」
会場に着き、更に極彩色になった視界から視線を反らし、阿伏兎の方を見た。
「だいたいさ、いつもの姿でも十分仮装してるだろ天人って」
「そうか?」
「そうだよ、例えば前方に見える二足歩行の犬とか」
「人に向かって指差すな団長。ありゃ、第八師団の勾狼団長だろ」
「肥えた豚がキンキラキンに着飾ってるのとか」
「…………」
会場内の壇上で延々と喋り続けている阿呆提督を指し示す神威に、コメントさえ出なかった。
たしかに肥え太ってはいるが言っちゃいかんだろ、と阿伏兎はため息をついた。
長々と続いていた開催の挨拶が終わると、各自一斉に料理へと群がり始めた。
テーブルの近くに陣取っていた神威は、すでに並べられていた料理を大破させる勢いで食べ始めていた。
「こう言う会場で食べるのってなんか物足りなく感じるよね」
「団長、口に物詰め込みながら喋るな、このすっとこどっこい」
「あ、阿伏兎ー、その料理何?」
「食いたいなら自分で取れ」
「両手が塞がってるからムリ」
右手に肉の塊、左手にこれでもかと料理を盛った皿。
どっちかを置けばいいだろとも言いたくなったが、言うだけ無駄かと悟り。
笑顔で待っている神威の口へと料理を放り込んだ。
(2012/10/31)