断片話

◆休み中
(銀阿)

「羽休め中に仕事を思い出させるなんざ、情緒がないねぇ? 銀時の旦那」

せっかくの酔いが醒めてきた、と休日明けの始末書の山を想像したのか阿伏兎はため息を吐いた。
へこませる気は全くなく、ただ世間話的に言っただけだった銀時は慌てた。

「いや! 別にそのッ…!?」
「元々、休みごとに地球に来る自体、仕事を溜めこんでくれと言ってるようなもんだから仕方がないと言えば仕方がないが……」

いっその事、地球に来なければいいのか、と発展しかねない呟き。
ただでさえ会える時間が短い中、それだけは不味いと銀時は一層慌てた。
慌てるばかりで断片的な言葉しか出ない相手に堪えきれず、阿伏兎は喉の奥で笑った。

「なんて、無神経な相手への意趣返しはこれぐらいにしておくか」
「へ?」
「旦那ァ、貴重な時間中に仕事を思い出させるあんたが悪い」

笑いを噛み殺そうともせずに言う相手に、からかわれていたのだと気付くのに時間がかかった。


(2012/10/15)
69/98ページ