断片話

◆話はそれから


「阿伏兎、イベントがある日ぐらい恋人らしく過ごそうと思わない?」
「そこに積んである仕事が終わったらな」

目の下に隈を作った阿伏兎は神威が握る手を振り解いた。

「だいたい、正月、豆まき、花見、七夕、月見、年末、その他、酒飲みでも理由を欠かん行事を理由に仕事が遅れてたまるか」
「うわー、仕事の鬼だね阿伏兎は」
「部下がしっかりしないでどうする? 恋人らしく過ごしたかったら、あんたも手伝え」
「アハハ、今日中に終わらないよね。その書類の量は」


(2011/09/17)
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