断片話
◆報告
(華陀+神威)
春雨の提督室にて、孔雀扇を持った女性は目の前に座る相手に向かって問いかけた。
「いい加減、諦めたらどうじゃ」
「何のこと?」
「アレを追うのを諦めたらどうじゃと言っている」
含むように言う女性に対し、神威はすぐに何を指すことなのかを理解した。
「そっちには関係ないことだろ? それとも、今度はそっちが手回しでもしてるの?」
目を細めながら神威が問うと、女性は鼻で笑うように答えてきた。
「下種な勘繰りを」
「だったら不用意に言わない方がいいよ。せっかく檻から出してあげたのに、また逆戻りしたい?」
「出してあげた、か。恩着せがましいものよ」
■
「神威よ、何故アレを追う?」
「俺のものだから。勝手に逃げるなんて許す訳ないだろ」
「まるで子供の独占欲じゃな。諦めの悪い男は嫌われるぞ?」
「無駄口叩いてないで次の報告してくれる?」
表面上はにこやかな口調で話を打ち切る神威。
女性はそれ以上その話題について触れる事のないまま報告を始めた。
(2011/08/24)
(華陀+神威)
春雨の提督室にて、孔雀扇を持った女性は目の前に座る相手に向かって問いかけた。
「いい加減、諦めたらどうじゃ」
「何のこと?」
「アレを追うのを諦めたらどうじゃと言っている」
含むように言う女性に対し、神威はすぐに何を指すことなのかを理解した。
「そっちには関係ないことだろ? それとも、今度はそっちが手回しでもしてるの?」
目を細めながら神威が問うと、女性は鼻で笑うように答えてきた。
「下種な勘繰りを」
「だったら不用意に言わない方がいいよ。せっかく檻から出してあげたのに、また逆戻りしたい?」
「出してあげた、か。恩着せがましいものよ」
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「神威よ、何故アレを追う?」
「俺のものだから。勝手に逃げるなんて許す訳ないだろ」
「まるで子供の独占欲じゃな。諦めの悪い男は嫌われるぞ?」
「無駄口叩いてないで次の報告してくれる?」
表面上はにこやかな口調で話を打ち切る神威。
女性はそれ以上その話題について触れる事のないまま報告を始めた。
(2011/08/24)