断片話
◆褒美
(神威+鳳仙)
「欲しいものがあるんです」
「ほう、強さばかり追い求めるお前にしては珍しいな、神威」
「そうかもしれませんね。で、その欲しいものを俺の物にしたいんですけど」
「構わん、言ってみろ」
「たぶん師匠が考えてる金で買えるものじゃないんですけど、それでも良いですか?」
「ふん、生意気な事を言う。かわいい弟子への褒美だ、少しぐらいのわがままは聞く」
「アハハ、かわいい弟子なんて少しも思ってない口調ですよ、それ」
「はぐらかすな、わしの気が変わらない内に望む物を言え」
「じゃあ、お言葉に甘えて。ある傭兵が欲しいんです」
金で買えるものではないと言ったわりに、金で手に入れられるものを言ってきた神威に、鳳仙は問い返した。
「神威よ、それは金で買えるもののはずだ」
「買えませんよ。金で繋ぎとめた一時的なものじゃ足りないんです。出来れば春雨に、いや、俺の傍に置きたい」
「弱き者を入れさせる気か?」
「強さは折り紙つきですよ。世渡りも上手そうだし、師匠が懸念してる俺の世渡り下手を補ってくれる人材ですよ。ゆくゆくは俺に春雨第七師団を任せるつもりなら、今のうちに有望な部下を確保しても損にはならないと思いますけど?」
「……今日はいつになく多弁だな、神威よ」
そうまでして欲しいものか、と問うような視線を投げかける鳳仙に対して、神威はニッコリと笑った。
「欲しいもののためなら、多弁にぐらいなりますよ」
(2011/07/30)
(神威+鳳仙)
「欲しいものがあるんです」
「ほう、強さばかり追い求めるお前にしては珍しいな、神威」
「そうかもしれませんね。で、その欲しいものを俺の物にしたいんですけど」
「構わん、言ってみろ」
「たぶん師匠が考えてる金で買えるものじゃないんですけど、それでも良いですか?」
「ふん、生意気な事を言う。かわいい弟子への褒美だ、少しぐらいのわがままは聞く」
「アハハ、かわいい弟子なんて少しも思ってない口調ですよ、それ」
「はぐらかすな、わしの気が変わらない内に望む物を言え」
「じゃあ、お言葉に甘えて。ある傭兵が欲しいんです」
金で買えるものではないと言ったわりに、金で手に入れられるものを言ってきた神威に、鳳仙は問い返した。
「神威よ、それは金で買えるもののはずだ」
「買えませんよ。金で繋ぎとめた一時的なものじゃ足りないんです。出来れば春雨に、いや、俺の傍に置きたい」
「弱き者を入れさせる気か?」
「強さは折り紙つきですよ。世渡りも上手そうだし、師匠が懸念してる俺の世渡り下手を補ってくれる人材ですよ。ゆくゆくは俺に春雨第七師団を任せるつもりなら、今のうちに有望な部下を確保しても損にはならないと思いますけど?」
「……今日はいつになく多弁だな、神威よ」
そうまでして欲しいものか、と問うような視線を投げかける鳳仙に対して、神威はニッコリと笑った。
「欲しいもののためなら、多弁にぐらいなりますよ」
(2011/07/30)