断片話

◆お歳暮
(神楽+阿伏兎)

「どうしたもんかねぇ……」
「どうしたアルか阿伏兎?」
「譲ちゃんか、いや、団長がお歳暮を送ってきたんだが」
「マジアルか?! あのバカ兄貴が送ってきたアルか!?」
「普通の反応はそうだろうな」

ため息をついて、クール便で送られてきた箱を開け始める阿伏兎。
覗き込む神楽は、発泡スチロールに囲まれた物を見て目を見開いた。

「計十人前だろうな」
「なっ、何か絶対企んでるアル!! 怪しすぎるネ!」
「まあ、そう思われても仕方ないな」

人の善意をむげにするものではない、とは言うが、実際問題ギッチリと箱に詰められたボイル済みの蟹は怪しすぎた。

「何を考えてるんだかねぇ、あの団長様は」
「た、食べるべきアルか!?」
「腐らせるのもしのびないだろ。その前に譲ちゃん、よだれが垂れてるぞ」

「『追伸、俺が行く前に食べたら殺しちゃうぞ』……まぁ、団長らしい手紙だな」
「いや、それ明らかに自分の食料送っただけですよね!?」
「何だそのぬか喜び!!」
「紛らわしい事すんじゃねぇヨ!バカ兄貴!!」
「しかし、日付を見る限りそろそろ来てもいい頃になるが?」


(2011/07/03)
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