断片話

◆スキンシップ


「よぉ、神威。早いお着きだな」
「勾狼団長、そっちも早いですね」
「で? お前の副団長がいないが何かあったのか?」
「阿伏兎なら寝込んでますよ」
「ほお! 第七師団の副団長が寝込んでるのか! よっぽどたちの悪い風邪でも引いたか? まぁ、何にしても珍しいな!」
「さすがに力の加減を間違えて抱いたのがいけなかったかなと思いますけどね」

つられたように笑いながら言う神威。
その言葉に引っ掛かりを覚え勾狼はバカ笑いを止めた。

「なんッ、え? か、神威よぉ」
「どうかしましたか勾狼団長?」
「お前、自分の副団長を……」
「ああ、抱いて寝たら力の加減を間違えて、つい」
「マジカァアア!?」

「……ちょっと待て、団長。その話しの流れからすると多大な勘違いをされてないか?」
「阿伏兎もそう思う? さっき聞いた噂でもヤりすぎて腰痛めて寝込んだって流れてたし」
「ギックリ腰だと言われた方がマシな噂だな」
「でも、俺が力加減を間違えて抱いて、阿伏兎が腰痛めて寝込んでるのはあってるよ?」

ベッドから起き上がれないまま阿伏兎は神威を睨んだ。
そんな視線を受け流しながら神威は笑いながら弁解した。

「寝ぼけてると誰だって間違いはあるよ」
「ほぉ、その言い訳は何度目だ?団長」
「阿伏兎を抱いてるとよく眠れるからしかたないだろ?」
「安眠中にいきなり抱き着かれて命の危険を感じる身にもなれ」


(2011/06/19)
43/98ページ