断片話
◆研修?
「あんたが、第七師団の新任団長か?」
「うん、よろしくね」
随分とひ弱そうなのが来た、と口には出さないが阿伏兎は眉間の皺を深くした。
「まぁ、お飾りでも構わんといえば構わんが……」
相手には聞こえないように呟きながら、額に手を当てた。
頭痛がするような気がする。
夜王鳳仙に推薦されたと言えばそれなりに実力はあるはず。
だが、そもそも荒事に向くのかと言いたくなるほどの華奢そうな体。
柔和な笑みも、ただひ弱そうに見えるだけ。
推薦するにしても、もう少し見栄えのするのはいなかったのかと……
「…………」
「どうかした?」
視線を向ければ満面の笑みを向けてくる青年。
気のせいかと思い、阿伏兎は首を傾げた。
「とりあえず、案内をしますんで迷子にならんよう頼みますよ、団長」
「わかった」
機嫌よく返事をする青年に対し、ため息をつきたくなった。
■
「此処があんたの自室になる部屋だ」
「へー」
生返事を返してさっそくキョロキョロと室内を見回る青年。
「けっこう広いね」
「寝室は向こうだ」
「もう一つ扉を挟むんだ、めんどそうだね」
「面倒ならそこら辺に布団でも敷けばいい」
扉一つ挟んだ寝室がどれ程贅沢か、その事を分かっていない。
雑魚寝もいいところの団員達の部屋でもこの後に見せるかと阿伏兎は考えた。
「そうだね、そうするよ」
「風呂は大浴場がある。もっとも、師団員も使うから混むぞ。それが嫌なら多少狭いが部屋の備え付けを使え」
「ふーん、備え付けがあるなんて準備がいいね」
妙な言い回しをする青年に多少引っかかる阿伏兎だったが、次の案内を優先させた。
(2011/05/07)
「あんたが、第七師団の新任団長か?」
「うん、よろしくね」
随分とひ弱そうなのが来た、と口には出さないが阿伏兎は眉間の皺を深くした。
「まぁ、お飾りでも構わんといえば構わんが……」
相手には聞こえないように呟きながら、額に手を当てた。
頭痛がするような気がする。
夜王鳳仙に推薦されたと言えばそれなりに実力はあるはず。
だが、そもそも荒事に向くのかと言いたくなるほどの華奢そうな体。
柔和な笑みも、ただひ弱そうに見えるだけ。
推薦するにしても、もう少し見栄えのするのはいなかったのかと……
「…………」
「どうかした?」
視線を向ければ満面の笑みを向けてくる青年。
気のせいかと思い、阿伏兎は首を傾げた。
「とりあえず、案内をしますんで迷子にならんよう頼みますよ、団長」
「わかった」
機嫌よく返事をする青年に対し、ため息をつきたくなった。
■
「此処があんたの自室になる部屋だ」
「へー」
生返事を返してさっそくキョロキョロと室内を見回る青年。
「けっこう広いね」
「寝室は向こうだ」
「もう一つ扉を挟むんだ、めんどそうだね」
「面倒ならそこら辺に布団でも敷けばいい」
扉一つ挟んだ寝室がどれ程贅沢か、その事を分かっていない。
雑魚寝もいいところの団員達の部屋でもこの後に見せるかと阿伏兎は考えた。
「そうだね、そうするよ」
「風呂は大浴場がある。もっとも、師団員も使うから混むぞ。それが嫌なら多少狭いが部屋の備え付けを使え」
「ふーん、備え付けがあるなんて準備がいいね」
妙な言い回しをする青年に多少引っかかる阿伏兎だったが、次の案内を優先させた。
(2011/05/07)