銀阿

「昔は、月に玉兎ってのがいて薬を作ってる、なんて言われてたんだってさ、団子だと思ってたのになー」
「ほぉ、旦那にしては随分と博識だ」

喉の奥で笑う阿伏兎は、酒を満たした盃を傾けた。
のんびりと寝そべる銀時は、そんな阿伏兎の様子を眺めた。


「……旦那、せめて月より団子にしたらどうだ? こうもじっと見られるとむず痒くなるんだが?」
「こっちの兎はなかなか会えないからな」
「なにも月見は十五夜だけじゃない、十三夜もある」


その頃にはまた来る、と暗に言う阿伏兎に、銀時は起き上がり何とも言えない表情をした。


二回の月見
「ほぼ一ヵ月後が待ち遠しくなっちまったな……」


end
(2010/09/22)
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