断片話

◆企み
(華陀+神威)

事務的な書類に目を通していた女性は軽くため息をついた。

「退屈じゃ……」

書類から手を離し、女性は窓の外を眺め物思いにふけた。
孔雀扇を緩くあおぎながら、何か面白いことはないかと考えた。
何か刺激がないかと思考を巡らせ、ふと一つの案が浮かんだ。
あおいでいた手を止め、口元を隠すように孔雀扇を持っていった。

「あれをからかうのも面白いかもしれんの」

クスクスと笑い、女性は浮かんだ案の詳細を考えはじめた。

「何たくらんでるの?」

不機嫌な顔で神威は目の前の女性を睨んだ。

「神威よ、何故そうまでわしに警戒する?」
「これみよがしに阿伏兎に近づこうとする時点で嫌いだから」
「勧誘の事か? 随分と器の小さい男よ。有能な部下は誰でも欲しいもの」
「阿伏兎は俺のだって言ってるだろ」


(2011/05/03)
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