断片話

◆二択


「俺は、あんたの親代わりじゃないんだがねぇ」
「親代わり? 俺は阿伏兎をそんな風に見てないよ」
「無償の愛が欲しいなら、さっさと親元に帰れ。乳離れもできてない様なガキの戯言に付き合う気はない」
「……俺の言ってきた事全部、阿伏兎にとっては子供の戯言で終わってたの?」
「そうだな。あんたの言ってきた事全部、俺には甘えたがりのガキが親を求めてるようにしか…ッ!?」
「甘えたがりのガキが親を求めてるように? ふーん、阿伏兎はそんな風に思ってたんだ。どうすれば分かってもらえる? もっとはっきり言わないと伝わらなかった? だったら、言葉だけじゃなくて態度にも阿伏兎でも分かるように示そうか?」
「団…ッ!!」

言葉を紡がせないように阿伏兎の首をさらに締め上げた。
抵抗され、締め上げている腕を逆に掴まれても、何事もないかのように微笑んだ。

「ねぇ、阿伏兎。どうせならクイズでもする? ほら、阿伏兎がよくやるやつ」

反論できないのを承知の上で神威は言葉を続けた。

「理解しないまま死んで俺の物になるか、理解して生きて俺の物になるか。どっちを選ぶ? ――早く答えろよ、阿伏兎。たかがクイズだろ?」


(2011/04/01)
30/98ページ