断片話

◆手伝い


グシャ、と力の加減を間違えたペン先により書類に皺が出来た。

「あーあ、また破いたの? 阿伏兎」
「またも何も今日はまだ一枚も破いてないだろ」
「片手で書類処理って無理があるよね」
「そう言うならあんたが全部やれ、ほとんどはあんたのだろ」
「じゃあ、こうしようよ阿伏兎。俺が紙を押さえてあげるよ」

提案するように言いながら神威は、後ろからそっと書類に左手を置いた。

「……団長」
「どうかした阿伏兎?」
「もう片方の手で服を脱がそうとしているのは何故ですかねぇ?」
「あり、ばれた?」


(2011/04/01)
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