かむあぶ

「あーあ、太陽なんて無くなれば良いのに」

傘を差しながら神威はつぶやいた。


「団長、無駄口たたいてないで、さっさと歩け」

十歩先を歩いていた阿伏兎は、振り向きながら待った。



「何でこんな砂漠を歩かなくちゃいけないの?」
「仕方ないだろ、団長が第七師団の食料を食い荒らしたせいで俺らだけ置いていかれたんですよ?」


「だからって、何も食料も寄越さずに永遠と砂漠を歩けって言うの?」
「いや、優に第七師団が余裕を持って食べれた1週間分の食料を1日で壊滅させたのは、あんたですから。
 おかげで、こちとらとばっちりで罰を受けちまっただろ」





「夜兎が太陽を嫌いなこと知ってて放り出す普通?」
「食料が無ければ天人でも怒るのを知らないんですかねぇ普通?」




「阿伏兎~、ご飯まだ?」
「食料が無いって言ってんだろ、このすっとこどっこい」


「え~、採って来いよ、この際、蛇でもトカゲでも良いからさー」
「……はぁ~、そのうち見つけたら捕まえてみますよ」




「阿伏兎~ご飯~」
「そのうち捕まえますよ」



「阿伏兎~疲れた」
「体を引きずって良いなら、足を持ちますが?」



「阿伏兎~」
「何で……」


ポタリと乾いた砂に汗が流れ落ちた。



「しょっぱい」
「……汗かいてるからな」




砂と太陽と夜兎
何も汗だくでキスするか普通?




end
(2010/01/09)
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