断片話
◆勝敗
(華陀+阿伏兎)
目を細め、諦めたように女性は呟いた。
「賭けはわしの負けじゃ」
「何故そう思われるんですかねぇ?」
「元々、嘘が気付かれた時点でわしの負けは決定していた」
目の前の阿伏兎を女性は見上げた。
その目は、相手を軽く睨むように鋭かった。
「しかし、嘘だと分かっていながら何故最後まで騙されているふりをする?」
「貴方に惚れていた、敵わないことなんて百も承知でしたがね」
だから最後まで騙されていようと思った、と苦笑するように肩をすくめる阿伏兎。
その様子に女性は微笑を浮かべた。
「惚れていた、か……嘘も大概にした方がよいぞ」
「生憎と、嘘ではないんですがねぇ」
「惚れていたとしても前までは、であろう? 今は新しく第七師団長になった者の方が好きだと聞いている」
「は?」
「何を驚いている。春雨中に噂されている事を知らぬ訳ではなかろうに」
(2011/04/01)
(華陀+阿伏兎)
目を細め、諦めたように女性は呟いた。
「賭けはわしの負けじゃ」
「何故そう思われるんですかねぇ?」
「元々、嘘が気付かれた時点でわしの負けは決定していた」
目の前の阿伏兎を女性は見上げた。
その目は、相手を軽く睨むように鋭かった。
「しかし、嘘だと分かっていながら何故最後まで騙されているふりをする?」
「貴方に惚れていた、敵わないことなんて百も承知でしたがね」
だから最後まで騙されていようと思った、と苦笑するように肩をすくめる阿伏兎。
その様子に女性は微笑を浮かべた。
「惚れていた、か……嘘も大概にした方がよいぞ」
「生憎と、嘘ではないんですがねぇ」
「惚れていたとしても前までは、であろう? 今は新しく第七師団長になった者の方が好きだと聞いている」
「は?」
「何を驚いている。春雨中に噂されている事を知らぬ訳ではなかろうに」
(2011/04/01)