断片話

◆桃栗三年


「阿伏兎、柿の種あげるからそれ頂戴」

表面を醤油などで味付けして焼いた米菓、柿の種。
ではなく、本当に柿を食べつくした後に残った種。

「いやいや、不公平だろ。どこの世界に食い残しの種とおにぎりを交換する奴がいる?」
「地球の話だとおにぎりと交換した柿の種を埋めると一晩で柿の木が育つんだって」
「残念ながら普通の種では無理でしょうねぇ。と言うか、猿蟹合戦とジャックと豆の木が混ざってないか?」
「大丈夫、もしかしたらこの種は普通じゃないかもしれないだろ?」
「何処が大丈夫だ。夢を見るにしても、もう少し現実を見ろ」


(2011/03/25)
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