断片話

◆夜の目も寝ずに


「本当に阿伏兎がいると安心するよ」
「ほぉ、此方としては再就職先を考え始めた所ですよ、団長様」

殴りたくなるほどに爽やかに言う神威に阿伏兎は皮肉気に返した。
その事をさして気にした様子もなく神威は流した。

「あれだけ溜まってた書類の山がなくなるなんて何週間ぶりだろうね」
「溜めるなそんな物。山になる前に片付けろ」
「阿伏兎って大掃除はしたくないから日頃からちまちま掃除するタイプ?」
「あんたは夏休みの宿題を溜め込んで終わり頃に一気に片付けるタイプだな」
「当たってるかもね」

面白がる神威を見て阿伏兎は霞む目に手を当てた。


(2011/03/22)
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