断片話

◆ウンデレラ
(童話パロ)

元ネタ『シンデレラ』
【キャスト】
シンデレラ:云業
継母:阿伏兎
長女:神威
次女:神楽
王子:銀時

……あるところに、それはそれは逞しい人物がいました。

「ウンデレラ、定春の散歩行ってくるヨロシ」
「ウンデレラ、そこの廊下掃除しとけって言ったよね?早くしないと殺しちゃうぞ」

名をウンデレラと呼ばれる人物は、継母の連れ子達にこき使われていました。

「云業、手伝うぞ?」
「いや……いい」

子供達の態度を見兼ねた継母は手伝おうかと言い出しましたが、ウンデレラはキラリと光る連れ子達の目を前に断りました。

「あー……こんな中から嫁探せって、どんな無謀な挑戦だよ。砂漠で米粒見つけるのはアニメ版○ャーマンキ○グの主人公とライバルじゃあるまいしできないっての」

やる気のない王子は、早くも嫁探しを挫折しかかっていました。

「王子、これをおかけください」

亀の甲羅を背負った執事は、そっとゴーグルを差し出しました。

「これはスパウターと言い、かけるとアッと言う間にその者を見た時の王子の率直な胸の感想を数字に出します」
「へー」

カチリと片目にかけ、王子は辺りを見回し、とある集団へと目を止めました。大柄な人物を中心に、食事をしている集団を見た瞬間、王子のかけたスパウターは電子音を響かせ、爆発しました。

「あらやだ、王子がこっち見てるわよ」
「やだッ、アゴ美ったら、ちょっと自意識過剰すぎよぉ」

キャッキャと笑いあう青髭集団……

「胸のときめきで反応します」
「ときめきじゃねぇよ!! 心臓バクバクもんだコノヤロォオオオ!!」

こんなモノいるか! と床にスパウターを投げ付けた王子は、自力で嫁探しに会場へと下りました。


(2011/02/15)
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